2021/08/30

【エールからのお役立ち情報】新型コロナウイルス感染症 企業の対応と労務管理 (2020年3月号エール・スピリッツより)

新型コロナウイルス感染症~企業の対応と労務管理~

本記事は2020年3月号のエール・スピリッツでお届けした記事です。
現在も続くコロナ対策のためにご活用いただける情報として掲載させていただいております。
ご参照下さい。

連日、ニュース等で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関する報道が行われています。
感染拡大に備え、企業も対応を急がなければなりません。新型コロナウイルスへの対応・対策等について特集します。

1.企業が検討すべき対応

①従業員に適切な行動基準を徹底する
完全に予防・対策をとることはできませんが、次のような行動の徹底を従業員に求めることが重要です。

◆社屋に入館する際の手指のアルコール消毒の徹底
◆通勤でマスク着用していた場合は、会社の入口で廃棄する。(そのまま社内で使用しない。)
◆マスクは清潔に保たれた新品を使用し、正しく着用する。
◆就業時間中も適宜、手洗いを徹底する
◆発熱、咳、全身倦怠感等の症状が出た場合には、出勤しない
※「37.5度以上の発熱が4日以上続く」は疑われる基準。発熱などの症状がある場合は、無理をせず、出社しないように伝える。
◆体調不良時の検温の徹底
◆勤務中に発熱、咳等の症状が出た場合には躊躇なく上司に相談する
◆糖尿病や高血圧症、その他治療中の人は早めに主治医に発熱等を感じた場合の対応について、相談しておくように促す
◆同居家族が発熱等を生じた場合には自宅からまず電話連絡する
◆不要不急の外出を避ける

上記の行動を徹底してもらうための会社の準備としては、社屋の入口にアルコール消毒剤、マスクを廃棄するためのごみ箱の設置、手洗い・咳エチケットポスターの社内掲示等が考えられます。

▼厚生労働省 一般的な感染症対策について▼
※画像をクリックすると拡大されます。

②感染拡大防止対策をとる
すでに何らかの対応をとられている企業も多いかと思いますが、
出勤可能な従業員を減らさないための感染防止策をとることが基本です。

◆発熱等の風邪症状がある従業員が休みやすい環境の整備
◆病気休暇制度の整備
◆時差出勤、テレワーク、フレックスタイム制の導入
◆マイカー通勤の許可、自転車・徒歩通勤の推進
◆出張の禁止・制限
◆社員食堂の利用禁止、時差利用
◆イベント・会議の縮小・禁止、テレビ電話会議システムの利用
◆海外旅行へ行く際の渡航先の事前報告の義務付け
◆社内清掃・消毒の徹底

③従業員が感染した場合、濃厚接触者となった場合の対応を決めておく
感染がわかってから、検討するのでは対応が遅くなってしまいます。対応を検討している間に、取引先に訪問したり、接客対応するということが起こってしまわないよう、事前に下記を検討します。

◆感染または濃厚接触者となった場合の報告先・方法
◆従業員が感染した場合の休業等の措置
◆従業員の家族が感染した場合の出勤停止措置
◆従業員、取引先との緊急連絡体制の確立
◆休業時の給与・有給休暇の取り扱い
◆感染拡大時の業務体制

2.労務管理Q&A

(参考:厚生労働省 新型コロナウィルスに関するQ&Aに加筆)

Q1 新型コロナウイルスに感染した労働者を休業させる場合、休業手当はどのようにすべきか?
新型コロナウイルスに感染しており、都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当せず、休業手当を支払う必要はありません。
通常の病気と同様に、有給休暇があれば有休を使うことが多いでしょう。なお、無給の場合には、被用者保険に加入されている方であれば、要件を満たせば、各保険者から傷病手当金が支給されます。 療養のために労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から、直近12カ月の平均の標準報酬日額の3分の2について、傷病手当金により補償されます。

Q2 新型コロナウイルスへの感染が疑われる方について、休業手当の支払いは必要か?
風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く場合、強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある場合には、最寄りの保健所などに設置される「帰国者・接触者相談センター」にお問い合わせください。

現時点では新型コロナウイルス感染症以外の病気の方が圧倒的に多い状況であり、インフルエンザ等の心配があるときには、通常と同様に、かかりつけ医等にご相談ください。

発熱している労働者は厚生労働省が示す蔓延防止のための対策に自宅療養を勧めていることから考えても、本人に有給休暇を消化するか意向を確認し、有給休暇を消化しないのであれば欠勤となります。

Q3 従業員の同居家族が感染し、従業員を休業させる場合は、休業手当を支払う必要があるか?

平成21年の新型インフルエンザ流行時の厚労省の見解では、家族が感染し、濃厚接触者であることにより保健所による協力要請等により休業させる場合は、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられ、休業手当は支払う必要はないとされています。
新型コロナウイルスは法令上、就業制限の対象にはなっていませんが、同居家族が新型コロナウイルスに感染した場合も、感染力や毒性が未だはっきりしないという状況下にある以上、他の労働者への安全配慮義務の観点から休業させざるを得ないと考えられ、休業手当を支払う必要はないいう解釈もなりたつと考えられます。

Q4 新型コロナウイルス感染症によって、事業の休止などを余儀なくされ、やむを得ず休業とする場合等にどのようなことに心がければよいか?
今回の新型コロナウイルス感染症により、事業の休止などを余儀なくされた場合において、労働者を休業させるときには、労使がよく話し合って労働者の不利益を回避するように努力することが大切です。
また、労働基準法第26条では、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければならないとされています。
休業手当の支払いについて、不可抗力による休業の場合は、使用者に休業手当の支払義務はありません。
具体的には、例えば、海外の取引先が新型コロナウイルス感染症を受け事業を休止したことに伴う事業の休止である場合には、当該取引先への依存の程度、他の代替手段の可能性、事業休止からの期間、使用者としての休業回避のための具体的努力等を総合的に勘案し、個別具体的に判断する必要があると考えられます。

3.感染防止に向けた柔軟な働き方

① 時差出勤
時差出勤は1日の所定労働時間を変えず、始業・終業の時刻を変更することです。導入には、始業時刻の
パターンと勤務パターンの決定方法・時期、時差出勤の対象者を検討します。

② フレックスタイム制
フレックスタイム制は、総労働時間を定め、各日の始業、終業の時刻を労働者の決定に委ねる制度です。1日の労働時間帯に、必ず勤務すべき時間帯(コアタイム)と、その時間帯の中であればいつ出社または退社してもよい時間帯(フレキシブルタイム)を定めます。フレックスタイム制の詳細や導入の手続きに際しては、ご相談ください。

③ テレワーク、在宅勤務
厚生労働省では、テレワークに関連する情報を一元化した『テレワーク総合ポータルサイト』を設け、テレワークに関する相談窓口、企業の導入事例紹介などテレワークの導入・活用に向けた各種情報を掲載していますので、参考になると思います。
テレワーク時にも労働基準関係法令が適用されますが、労働者が通常の勤務と異なる環境で就業することになる
ため、労働時間管理などに留意する必要があります。現在の状況下では、最低限必要な環境整備と、ルールを
定め、トライアルしてみるということも有効です。導入しやすい部署や管理職等一部の従業員で試し、導入が
可能か、どのようなルールが必要かを検討していく方法もあります。

―テレワーク導入に関するQ&A―
Q導入を検討していますが、緊急時に限らず、そもそもテレワーク導入のメリットはどんな点でしょうか?

【企業としてのメリット】
テレワークが可能になれば、住んでいる地域などに制限されず幅広く人材を確保できます。また、 家賃や光熱費などの固定費、通勤手当やペーパーコストなどを抑えることもでき、今回の新型コロナウイルスのように感染症の流行や非常災害時等も影響を最小に抑えることが可能です。

【従業員へのメリット】
首都圏の通勤時間は45分~1時間程度の方が最多といわれています。通勤時間がなくなれば1日1時間半~2時間自分の時間ができ、勉強やスキルアップ、新たなチャレンジ、家族との時間などに充てることができ、育児・介護などを抱える方でも就業しやすくなります。

★テレワークに向かない仕事ももちろんありますし、従業員によっては在宅では仕事をしにくい方もあるでしょう。しかし、柔軟で多様な働き方を選択ができる環境を用意できれば会社にとってもメリットがあります。

―テレワーク導入に向けて対応すべきこと―
① 業務の棚卸を行う
現状において在宅でできる業務・できない業務に区分して、できない業務に関しては手順の改善やシステム
の導入等で対応できないかを検討しましょう。

② 小規模から始める
特定の部署や人を絞ってトライアルを設け、徐々に適用範囲を広げていくことは有効です。無理に全体とせず、小規模から横展開し、成功体験を広げていくのもやりやすいでしょう。

③ クラウド機器の積極活用
Webカメラで会議への参加や相互の様子が分かるようにしたり、出退勤やPCログ管理を見える化するなど
の対応を検討します。『職場と同じ環境を職場外で作れるか』という視点で検討しましょう。

④ 教育体制の確立
出勤との組み合わせや、教育を受けさせる等、教育体制を検討します。

⑤ 社内ルールの整備
以上のような事項を実行と検証をしつつ、ルールを確立し就業規則等に落とし込んでいきます。

【ご参照下さい】
■厚生労働省 国民の皆さまへ (新型コロナウイルス感染症)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00094.html

■新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)(2021年7月28日時点版)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html

■厚生労働省 テレワーク総合ポータルサイト
https://telework.mhlw.go.jp/qa/

新型コロナウイルスに関する企業の対応事項、労務管理に
ついてはエール担当者へお問い合わせ下さい。

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